後生動物黎明期の胚化石と幼生化石の内部組織解析
(0) カンブリア紀最初期の微化石の三次元像解析
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(1)「研究概要」

 地球は唯一高等生物が存在する天体である。そこで、高等生命につながる後生動物(多細胞動物:体制の違いにより33~35門に分類される)の出現と進化は地球・生命進化において最重要な課題であるが、その原因は未だ解明されていない。本研究の目的は、エディアカラ紀~カンブリア紀初期の後生動物の胚化石や幼生化石の三次元構造解析から、これまで見ることのできなかった化石内部の詳細な生物組織を観察し、後生動物黎明期(6~5.1億年前:後生動物出現からカンブリア大爆発まで)の胚化石や幼生化石の生物組織を研究することである。
 私たちの予察的研究では、外観上は刺胞動物の胚化石の原腸陥入段階やポリプの特徴を持ちながら、内部組織は新口動物の棘皮動物様に五射放射状構造を持つものが非常に多く存在することが分かった。その結果は後生動物黎明期には体制の全く異なる動物が一時的に存在していたことや左右対称構造を持ちながら刺胞動物様な二胚葉構造を持つ動物が存在していたこと(従来の研究では知られていない、二胚葉から左右対称構造への移行動物)を示唆し、後生動物の初期進化を考える上で重要な制約条件を与える。本研究では、さらに多種の化石を調べることによって、黎明期には後生動物の爆発的な急進化の為、現存しない多種多様な体制が模索されたと言う仮説を実証する。

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(2) イントロ
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(3) 最古の刺胞動物胚と幼生化石の三次元像解析

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 本研究で用いられた微化石は、南中国の石鐘鋪地域の寛川溝部層(カンブリア最初期の地層)に産し、カンブリア紀最初期を特徴付けるSSF(小殻化石)の第一群集とともに産する。それらの化石はその外観から刺胞動物の胚や幼生化石と考えられている。本研究ではその内部組織も含む三次元構造の解析を行った。
 内部構造は、原腸が貫通していない組織を持ち、刺胞動物と調和的であった。しかし、一般的に刺胞動物では4や6数性を持つ放射性相称を持つが、本化石は5数性の構造を特徴的に持つことがわかった。

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 刺胞動物は現在、放射相称の体制を持つ動物であるとされているが、後生動物黎明期は左右相称の体制を持っていた可能性がある。

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(3) 澄江動物の三次元像解析

 澄江動物群のいくつかの化石の三次元像解析をSPring-8のシンクロトロンX線Micro-CTを用いて行いました

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(4) エディアカラ動物と
     節足動物や刺胞動物をつなぐリンクの発見
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 これらの化石はこれまで報告例のない新しいものばかりである。エディアカラ動物特有の微妙にずれた対称性を残しつつ、節足動物のようなモールド組織や高度に分化した特徴を持つ。エディアカラ動物と節足動物のミッシングリンクとなり得るかもしれない。

 また、右下の化石も刺胞動物のcarinachitidsとされる化石に似ているが、4数性を持ち、従来の3数性や5数性とは異なる。また、形状も従来のものは柱状の構造を持つのに対して、この化石は骨組み状で異なる。

 後生動物の初期進化に新知見をもたらすことが大いに期待される。

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(7) その他

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