西オーストラリア・ナリア岩体のJack HillsとMt Narryerの34億年前の礫岩には44億年前の地球最古物質を含む冥王代ジルコン(40億年前以前のジルコン)が存在する.
その希土類元素などの化学組成は、それが花崗岩質マグマから晶出したことを示す.また、包有物の多くも花崗岩質マグマで普遍的に見られるアパタイト, 石英, 長石, 雲母, モナザイトなどで、花崗岩起源であることを支持する。
私たちはこの最古ジルコン中の包有物を研究し、冥王代の地球表層のテクトニクスを解明している。得られた結果を、地球型惑星の初期進化の解明に応用させる。
ジャックヒルズの場所とその風景
大きさ数10ミクロンから数ミリメートルのジルコンがたくさん存在。 穴は、LA-ICP-MS(京都大学平田研究室)で分析したもの
冥王代地球解読を進める!
左の写真は最古の枕状溶岩の写真。 (Komiya et al., 1999より)
マントルの温度の経年変化を推定。これまでの研究ではプルーム火山岩を使って推定されてきた為、太古代マントルは1900℃と異常に高い温度が想定されてきた。古い地質体から、中央海嶺玄武岩を選び出す地質学的新手法を創成し、太古代マントルの温度を定量的に見積もることに成功した。その結果、太古代のテクトニクス、物質循環を初めて定量的に議論できるようになった。
アカスタ片麻岩体は、最古の岩石が存在するところで、1989年の発見以来、年代が更新され、現在では40.3億年前の岩石が見つかっています。しかし、これまでの研究は、主に花崗岩質片麻岩の年代や岩石学に関するものでした。しかし、私たちの研究によって、その花崗岩質片麻岩体に貫入された苦鉄質岩広く分布することがわかりました(Iizuka et al. 2007)。
そこで、現在、苦鉄質岩に着目して、変成岩岩石学、火成岩岩石学、地球化学や同位体地球化学の手法を用いて、太古代初期地球や冥王代地球のマントル進化を読み解く研究をしています。
アカスタ片麻岩体は最古の岩石が存在する場所で、1989年の発見以来、年代が更新され、現在では40.3億年前の岩石が見つかっています。しかし、従来の研究は、主に花崗岩質片麻岩の年代や岩石学に関するものでした。しかし、私たちの研究によって、その花崗岩質片麻岩体に貫入された苦鉄質岩広く分布することがわかりました(Iizuka et al. 2007)。
私たちは、苦鉄質岩に着目して、変成岩岩石学、火成岩岩石学、地球化学や同位体地球化学の手法を用いて、太古代初期地球や冥王代地球のマントル進化を読み解く研究をしています。
その結果、アカスタ片麻岩体の苦鉄質岩には初期地球での大規模マントル分化イベントや核形成時の分別の証拠が見られた。
最古のプレートテクトニクスの証拠の発見!!
また、アカスタ片麻岩体の苦鉄質岩は、液相濃集元素の中でも特徴的にNbだけが枯渇し、その他の元素の"過剰"は見られない。その特徴は沈み込みだけでは説明できず、核形成時の分別が必要となる。高圧下での核形成を示す。さらに、Re-Osアイソクロンの結果、この苦鉄質岩が40億年前または42億年前に形成されたことがわかった。これは、現在知られている中で、最古の岩石であることを示し、さらに後期隕石重爆撃中、またはそれ以前に形成されたことを示す。
地球最古の岩石の発見!!
③我々のグループが作成した世界最古の岩石が存在するアカスタ片麻岩体の地質図。
黄色の部分は41~39億年の年代を持つ白色片麻岩体、一方、青色の部分は層構造のはっきりした灰色から白色の片麻岩で、両者は断層によって接する。ピンク色は34億年前の若い花崗岩他岩脈。白色片麻岩体中に42億年前の年代を持つジルコンを発見。Mt Narryer岩体以外では、これが最も古い年代を持つジルコンとなる。さらに、我々の発見によって、白色片麻岩体中に苦鉄質岩塊が存在することが分かった。その産状からこの苦鉄質岩塊が最古のものである(Iizuka et al 2007)。2007年の時点では年代が決まっていなかったが、最近この年代を決めることができ、Re-Os年代で40または42億年前の年代が得られた。
現存する最古の岩石であるとともに、最古の地殻・表成岩である。
最古の地質体とされるアカスタ片麻岩体にでさえ、リサイクルしている痕跡が存在。
④Mt Narryer岩体以外で見つかった最古のジルコン(左)。42億年前の年代を持つ。また、そのジルコンの化学組成はその母岩が花崗岩質であることを示す。また、アカスタ片麻岩中のジルコンのHf同位体値。アカスタ片麻岩のような古い花崗岩類も初生的ではなくリサイクルの証拠を持つ。
⑤川砂中のジルコンの年代分布。27や21億年前に大きなピーク。 下部マントル物質が上部マントルに流入して、マントルが再び活性化した(マントルオーバーターン仮説:下図)。大陸地殻は削られて堆積物として二次的に堆積すると言うリサイクルを強く受けていることが分かる。
⑥上図:川砂中のジルコンの年代とHf同位体測定 川砂は流域の平均化学組成を持っていると思われる。そこで、砂中のジルコンを分析することによって、広く大陸の年代と同位体を決める事ができる。
下図:各年代のジルコンのHf同位体分析結果。 この結果、特に若い年代のほぼ全ての大陸地殻が古い地殻の再溶融(リサイクル)で生じていることが分かる。
⑦リサイクルの影響を考慮すると、大陸成長はこれまでにみんなが想像していたものと大きく異なる。大陸は太古代後期から原生代前期に急成長して、その後は減少している。現在も減少している。 このようにして推定された大陸成長は、ジルコンの年代や同位体頻度分布や現在の大陸分布はもちろん、他の独立の観測結果とよく合う。
①27億年前の現存する全ての地質体には、どんなに小さな地質体でも、大陸が分裂したリフト性の地質体が存在する。これまでの考えでは、太古代後期ですら、大陸は現在の3割以下しかないとされてきた。そして、それぞれ、現在の海洋内島弧(日本、伊豆小笠原、インドネシアのようなもの)として存在していたとされてきた。しかし、これでは、ほとんどが海ばかりであったはずなのに、27億年前の地質体には大陸が分裂して生じるリフト性の地質体ばかりが存在するのことになり、矛盾する。そして、それは長らくパラドックスとされてきた。これは当時、既に大きな大陸が存在していて、新たな玄武岩火成活動の場としてリフトが主になっていたことを示している。
②24〜22億年前は、急激に大気中の酸素が増加したり、全球凍結が起きたとされている。一般に大気中の酸素を増やすには、有機物を大量に埋没しなくてはならない。また、大気中の二酸化炭素を減らし、全球を凍結させるにも、たくさんの堆積物の埋没が必要となる。しかし、これまでの大陸成長モデルでは、この時期こそ、最も大陸が成長しなかった時とされている。このパラドックスも解決できる。
③27億年前から、海洋のSr同位体が急上昇する。これも、この時期から大陸が急成長したこととよく合う。
④全球凍結期がこの時期に起きたことも容易に説明しうる。大陸が多いとアルベドが高くなるので、地球は寒冷化するためである。
⑤昔の方がマントルの温度が高いのに、これまでのモデルではマントルの温度が下がった原生代後期に最も大陸が成長したと言われてきた。 「マントルの温度と大陸成長のパラドックス」も解決可能である。
⑧最新の大陸成長(Komiya, 2007, RGC)。大陸は、初期地球に急激に成長し、原生代頃ピークに達した。
世界の太古代変成岩帯の分布。
太古代と顕生代の海洋プレートの年齢の分布。現在は、平均年代はおよそ6000万年で、最古のものがおよそ1.8億年前、最も若いものは約0年である。
太古代は、平均は2000万年であるが、古いものも存在していたと思われる。しかし、従来の研究は、平均しか議論されてこなかった。
太古代のプレートテクトニクスの解明には、平均ではなく、プレートの年代のバリエーションの推定が必須!
(7) その他