Cygnus領域のパルサー

実はパルサーというのは結構沢山あって(全天に500個以上!)、Cygnus領域にも幾つかあるのだが、そのうち我々の観測領域に含まれるものは2個(図gif)。それらのパラメータを表gifに示す。

 

 
PSR RA(1950.0) DEC(1950.0) Long Lat DM EM Dist
( pc) (kpc)
2011+38 20:11:21.6 +38:36:38 75.9 2.5 238.6 ±0.9 986.68 8.6
2027+37 20:27:31.2 +37:34:05 76.9 -0.7 1757.6 5.4
Table: Pulsars in the Cyg-X Region

ここでパルサーについて測定された DM (Dispersion Measure)、および Wendker (1984) の4.8GHzの観測から求めた EM (Emission Measure)を用いて、視線上の電離ガスの平均数密度を求める。ただし電離ガスの温度として、6000Kを仮定する。

DM、及びEMは、以下の式で定義される。

ここから視線上で平均した数密度は、

となる。不等号は、電離ガスの非一様分布、及びパルサーの背後の電離ガスの存在可能性による。2つのパルサーに対して数密度を求めると、

となる。この結果は、これまでの議論に基づく「 の電離ガスの広範な分布」と全くもってconsistent。

ついでにここから求められるパルサーまでの距離は、

と求められる。これは表gif中の距離の〜1/200である。表gifの距離はneを仮定して求めたものなので、1桁違っても驚かないが、2桁は少し違いすぎかもしれない。電離ガスのfilling factorを含めて、consistentに説明する必要があろう。

REFERENCES

青木貴史 1993, priv.com.
Lyne, A.G. & Graham-Smith, F., "Pulsar Astronomy", Cambridge Astrophysics Sereis 16
Reynolds, R. J., Roesler, F. L., & Scherb, F. 1973, ApJ, 179, 651
Wendker, H. J. 1984, A& AS, 58, 291

  
Figure: Cygnus領域周辺のパルサー。出典はPrincetonのグループの anonymous ftp。


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