2成分モデル

一様密度で[CII] 輝線と5GHzの双方を説明しようとすると、「電子密度を小さくすると[CII] 輝線が強すぎる、電子密度を大きくすると電離領域が短すぎる。」のdilemmaに陥る。これを回避するには、密度に2成分を仮定し、密度の濃いcompactな領域で5GHzを、薄いELDで[CII] 輝線を、それぞれ担えばよい。

ここでそれぞれの電子密度として、compact成分には を、ELDには を、それぞれ仮定する。

この仮定の下に、観測を説明する電離領域の奥行きを、compact HII regions、ELD HII regionsの双方について見積ることができる。結果を図gifに示す。Compact HII 領域は奥行き最大0.021pc、大半が< 0.01pcである。この厚みは、HII 領域内のdense clumps (e.g. Bertoldi & Jenkins 1992) 1ヶ分とcomparable。一方、ELD HII 領域は最大233pc、大半で20 〜110pcであり、両者の奥行きの比は〜1 : 10000である。

ここから電離ガスの質量を求めると、 となる。

各々の領域の密度の仮定を変更した場合、ne(compact) ≫ne(ELD)の限りに於ては、奥行きはおおよそ∝1 / ne2である。従って、密度の仮定の変更でこれ以上現実的な解を得るのは難しい。つまり、今回の仮定がまぁまぁのところ。


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