ダストの加熱源

電離ガスとは異なり、ダストの加熱源はOB型星からの輻射の〜1/2を考えれば十分である(日付けレポート参照)。つまり、電離フォトンはガスにより全て捉えられるが、非電離フォトン(これには電離ガスから再放射される輻射も含まれる)はその一部しか捉えられないことを示す。その結果、小さなIREを示すことになる。これは、ガス/ダストが十分にdiffuseであれば説明できる。その理由を以下に、先ずは定性的に、次に定量的に示す。

[定性的説明]

一般に、IREが大きくなる(〜10)のは、HII 領域がcompactな場合である。なぜなら、compactかつdenseなHII 領域では、往々にして周囲に付随する濃い中性ガスとも相俟って、非電離フォトンに対してもoptically thickである。従ってダストの加熱源は多くはこちらで、 による加熱は相対的に少ない。Garay et al. (1993)に拠れば、その割合は〜15<tex2htmlpercentmark>。残りは電離領域周囲のダストによる非電離フォトンの吸収に拠る。

一方、diffuseなHII 領域では、IREの値は1に近づき、電離領域内のダストの の吸収のみで説明できるようになる(Pottasch et al. 1984)。これは、path lengthの長い 以外のフォトンに対して、ダストがoptically thinになることに拠る。

従って、Cygnus X のradio continuum & FIR continuumは、diffuseな電離領域から出ているものと考えれば説明可能である。 [定量的説明]

つまり電離ガスはやっぱりdiffuseで、それだからこそIREがこんなに小さいのだ、ということだね。だからやっぱ[CII] は出ちゃうのだよ。

もしそれが嫌なら、IREのつじつまを合わせないといけない。Energy source として、非電離フォトンよりも電離フォトンの方が不足気味なので、電離フォトンの源としてOB型星以外の「何か」を考えることになろう。それは可能か??

あ、でもこの「電離ガスがdenseかdiffuseか」と、「非電離フォトンに対してダストがoptically thin か thick か」とのつながりは明確ではないか。Quantitativeな見積が必要だね。


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