1994年4月6日 土井靖生
重要なことに気がついてしまいました。ひょっとすると、[CII] 輝線はほとんど電離領域からであることが、言えてしまうのではないでしょうか???
電離ガスの個数密度に依存する観測量として、1)emission measure (EM), 2)disparsion measure (DM)、3)[CII] 輝線強度、の3種を考えます。それぞれ、以下の通り表されます。
ここで は、「電離領域起源の[CII] 輝線強度」を意味します。
EM、及び の式中の不等号は、視線上の の揺らぎに起因します。一方DMは に揺らぎがあっても と結びつけることが可能ですが、光源となるパルサーが有限の距離(d)にあるため、やはり不等号が存在します。
これら3種の観測量を使って、 を求めることを考えます。求めるべき独立量は とLですから、最低2種の観測量を用いればよいことになります。従って、3種の観測量からは、2組の (に対する制限)が得られることになります。これを、以下のとおり定義します。
さて、こっからさきは非線形項を含むので少々ややこしいのですが、以下の関係をしめすことができます。
ここで等号が成り立つのは、視線上の に揺らぎのない場合、且つ、[CII] 輝線が全て電離領域起源の場合です。従って、観測された値を使って、
なる関係が示せれば、[CII] 輝線の大半が電離領域と考えて良いことになります。
さて、Cygnus X 領域に於て、これを検証できるパルサーは、残念ながら1つだけです。しかしながら、このパルサーに関しては、
という結果を得ます。つまり、[CII] 輝線がほとんど電離領域から輻射されていると考えられる視線が、すくなくとも1ケ所、存在するわけです。このパルサーの場所を、図に示します。
しかしながら、データが1ケ所ではなんとも心もとないので、もっとデータ点を増やさなければなりません。図に、我々の観測領域に含まれるパルサーの位置を示します。LMCについては、LMC本体にパルサーが含まれるのかどうか良く知らないので、ここでは除きました。
これらのパルサーについて、電離ガスの thermal continuum のデータがあれば、上記の計算を試みることができるわけです。そこでお願いです。皆さん少し手分けして、この計算を手伝ってもらえません?