電離領域からの[CII] 輝線放射

Cygnus X 領域からのradio continuumは、DR4 SNRに付随する成分を除いてはthermalと考えられる(Wendker 1984)。ここで5GHz continuum強度から、電離領域からの[CII] 強度を見積る。

ご存じの通り、thermal continuum強度は∝ne2×Lである。一方電離領域の より、大雑把に と考えられる。このため、[CII] 輝線を電離領域だけでまかなう を求めることができる。

実際のneがこれより大きければ観測される を電離領域のみで賄いきれず、中性領域の輻射を考慮しなければならない。一方neがより小さければ はより強くなり、観測を越えることになる。この場合はneの非一様性を想定する必要がある。即ち、radio continuumはより濃い領域から輻射させ、一方[CII] 輝線はより密度の低い部分から輻射させて賄っていることになる。

結果を図gifに示す。最大でも600 、多くの領域で 前後である。すなわち、電離領域からの[CII] 輝線を全く否定できないどころか、電離領域からしか輻射されていないとしても、十分観測を説明できてしまうのである。


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