1 赤外線検出器

波長100〜200 の遠赤外線に対して現在最も良い感度を達成しているのは、圧縮型Ge:Ga検出器である。 この検出器は、ゲルマニウムの結晶に極く微量のガリウムを加えた不純物半導体を検出素子とする。 この素子に機械的な圧力を加えることにより、入射光の波長に対する感度のピークを、100〜200 程度の範囲で調整することが出来る。 今回我々は、4列×8列= 32素子の検出素子に、凡そ60kgf/mm2の機械的圧力を加え、感度のピークを170 付近に持つ検出器を製作することに成功した(図1)。 この4×8 = 32素子というフォーマットは、この種の検出器としては、現在世界最大級の物である。 この素子数の多さに拠り、天空のより広い領域の、効率的なマッピング観測が可能となる。 またこの検出器は、宇宙研が2003年に打ち上げるASTRO-F衛星に搭載することが決まっており、今回の気球実験は、その為の検出器の性能試験という側面も併せ持っている。

  
Figure 1: 我々の開発した圧縮型Ge:Ga4×8素子アレー検出器。中央部に見える4×8の穴が、遠赤外線の取り入れ口。この内部に収められたゲルマニウムチップを、上下のブロックで挟み込み、素子の弾性限界近くまで加圧している。


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