3 赤外線検出器

 

遠赤外線の検出器として、現在世界で最も高い検出感度を達成しているのは、加圧型Ge:Ga光導電型検出器である。 この検出器は、ゲルマニウムを主成分とする半導体チップに、≦7000 kgf cm-2の高い圧力を加えることにより、波長 200 の長波長までの検出感度を実現している。

しかし、この高い圧力を必要とするという特色のため、これまでこの検出器は、検出素子の多素子化が困難であった。

我々は、単一素子の検出器を搭載していたBICEから、8素子1次元アレーを搭載したBFIIへと、検出器の発展を図って来た。 今回、この技術を更に発展させ、4 ×8素子の2次元検出素子を製作している(図2参照)。

  
Figure: 4 ×8素子2次元検出器。検出器全体像、及び遠赤外線の入射口部分(開口部)の拡大図を示す。開口の大きさは900 角、仕切り板の厚みは各々100 である。

検出素子の2次元化(多素子化)は、同じ観測時間でより広い範囲の天空を観測できるという点で、観測時間の短縮化に効果が得られ、一方同一の範囲の観測に当たっては、各点の積分時間を長くできるという点で、検出感度の向上を実現できる。 これは特に観測時間の限られる気球観測に於て、大きな利得である。

この検出器は、試験用検出器の組み立てを終え、その性能試験を始めようとしている所である。 これが完成すれば、この波長帯の検出器としては、検出素子数が世界最高の物になるのみならず、検出感度についても、世界最高のレベルを達成できると期待している。


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