我々の共同研究グループであるインドTATA研究所の赤外グループでは、口径1m の気球望遠鏡を用い、従来より遠赤外線観測を行なって来ている。 この気球望遠鏡の概要を、図3及び表2に示す。
Figure 3: インド製気球望遠鏡の全体像。カセグレン光学系を採用しており、
副鏡による空間チョッピングが可能。
望遠鏡の方位角は、ゴンドラ最上部に取り付けたリアクションホイールで制御
する。
一方高度角は、ゴンドラ内で望遠鏡の仰角を変更する事により制御する。
観測装置外寸 | 1.5 m × 1.5 m × 3.3 m (縦×横×高さ) |
観測装置総重量 | 860 kg (バラスト含まず) |
望遠鏡口径 | 1 m (カセグレン光学系) |
検出器 | Stressed Ge:Ga 検出器 |
(真空容器中で、液体ヘリウムにより冷却) | |
分光器 | ISAS ファブリ・ペロー分光器 |
波長分解能 λ/ Δλ= 1800 | |
空間分解能 | 1.4' |
観測のねらい | 銀河系内星間ガスの詳細分光観測 |
系外銀河の星形成活動の観測 | |
観測対象 | 158 μm 輝線:星間ガスのエネルギー収支の解明 |
検出限界 | 3×10-5 (1σ) |
観測範囲 | 30' ×30'/時間程度の掃天が可能 |
この望遠鏡に、我々が以前 BICE (Balloon-borne Carbon Explorer: 文献[6])望遠鏡に搭載して銀河面輝線サーベイを行なってきた分光器を搭載し、輝線の高空間分解能の観測を行なう。
この観測は、同様の空間分解能の観測を行なってきた KAO (Kuiper Airborne Observatory)による観測(文献[7])と比較して、検出限界で2倍以上、マッピン グ領域で10倍以上の向上が見込まれる。
分光器の詳細については、文献[8]を参照されたい。